2021年8月号(第67巻8号)

日本の四季彩巡り(8)

満点の星と天の川

撮影地:
沖縄県
波照間島
天の川

 日本の最南端の波照間島で、頭上の天を縦に走る天の川を撮りたいと思い現地に赴いた。波照間島は石垣島から高速船で60 分、人口約500 人の島で、公共の交通手段はなく、自然がそのまま残るひっそりとした島である。船を降り、午前中は八重山随一の美しさを誇るニシ浜を撮影し、午後は南岸の日本最南端の碑、星空観測センターの建物などを訪れて、今夜の撮影地のロケハン( 撮影地の下見) をした。ロケハンをしたのは、夜になるとこの一帯は光りが全くなくなり、暗黒の世界となって星以外何も見えないからである。構図として天の川だけでは単純過ぎるので、天の川が天の真上に来る時刻、深夜12 時、天の川が星空観測センターに差しかかる位置で撮影した。これほど沢山の星が肉眼でも見える世界ははじめてで、思う存分、真夏の満点の星と天の川を楽しめた。遠く北西方向には、幸運にも次回みられるのは5000 年後といわれるネオワイズ彗星が箒のような尾を引いて時折ぱっと光り、素晴らしい天体ショーも楽しめた。波照間島では1 月から6 月くらいまで南十字星も観測できるとのことで次回ぜひ挑戦したい。

写真とエッセイ  北川 泰久

<所属>
東海大学名誉教授・東海大学付属八王子病院顧問
医療法人 泰仁会 理事長

<プロフィル>
昭和49年慶應義塾大学医学部を卒業し、後藤文男教授の神経内科教室に入局、米国べーラー大学留学後、川崎市立川崎病院に勤務、膠原病と脳卒中の研究を行い、平成4年より東海大学に赴任、東海大学大磯病院副院長を歴任し、平成15年より東海大学神経内科教授、平成17年より付属八王子病院病院長を9年間つとめ平成29年より東海大学名誉教授、付属八王子病院顧問、医療法人泰仁会理事長、現在に至る。

専門は脳卒中、頭痛、生活習慣病、認知症。日本医師会学術企画委員会副委員長をつとめ、日本医師会雑誌の編集に長年携わっている。写真歴は約15年、各季節の旬を盛り込んだ風景写真のカレンダーを11年間作成し続け、平成26年には春夏秋冬の風景写真130余りを盛り込んだ写真集、憧憬を発表。

今まで使用してきたカメラはペンタックスとニコン、現在はニコン850Dを主に使用している。