2021年4月号(第67巻4号)

日本の四季彩巡り(4)

龍厳淵に魅せられて

撮影地:
静岡県 富士市
龍厳淵(りゅうがんぶち)

 富士山、桜並木、川が一度に撮影できる場所はいろいろあるが、その美しさとバランスに感動する風景が静岡県の富士市にある。その場所は龍厳淵という富士市内を流れる潤井川(うるいがわ)の淵で、ここの風景を撮るために3 年続けて通った。ここの絶景を撮る条件がいくつかあり、晴天であること、晴れていても富士山に霞がないこと、少なくとも桜が七分咲き以上咲いていること、川辺に菜の花が咲いていること、午前中の光線などがあげられ、なかなか完璧な条件に遭遇することができず、やっと全ての条件がそろった日に撮影することができた。一番乗りのカメラマンは最も条件の良い川の浅瀬に三脚を立てて撮影しており、ベストポジションを取るための早起きも必要であると思った。どうやら富士山を中心に活動しているプロのカメラマンとのことである。毎年、菜の花の咲く場所が異なるので、どうやってこのポイントを活かすかも重要である。今年は菜の花が咲いている場所が遠方で、手前の川の流れをND フィルターで遅く表現することを主眼としたので、菜の花は脇役となった。毎年変化する光景にまた来年も訪れたくなる。

写真とエッセイ  北川 泰久

<所属>
東海大学名誉教授・東海大学付属八王子病院顧問
医療法人 泰仁会 理事長

<プロフィル>
昭和49年慶應義塾大学医学部を卒業し、後藤文男教授の神経内科教室に入局、米国べーラー大学留学後、川崎市立川崎病院に勤務、膠原病と脳卒中の研究を行い、平成4年より東海大学に赴任、東海大学大磯病院副院長を歴任し、平成15年より東海大学神経内科教授、平成17年より付属八王子病院病院長を9年間つとめ平成29年より東海大学名誉教授、付属八王子病院顧問、医療法人泰仁会理事長、現在に至る。

専門は脳卒中、頭痛、生活習慣病、認知症。日本医師会学術企画委員会副委員長をつとめ、日本医師会雑誌の編集に長年携わっている。写真歴は約15年、各季節の旬を盛り込んだ風景写真のカレンダーを11年間作成し続け、平成26年には春夏秋冬の風景写真130余りを盛り込んだ写真集、憧憬を発表。

今まで使用してきたカメラはペンタックスとニコン、現在はニコン850Dを主に使用している。