2020年12月号(第66巻12号)

日本の四季彩巡り(12)

西伊豆南より富士を望む

撮影地:
静岡県
西伊豆・南伊豆
雲見海岸

 富士山は四方八方いろいろな方向から撮影できるが、西伊豆からの富士を撮るのにどこが最南端であるかを地図で調べると、松崎のやや南の雲見崎あたりがその地点のようである。この場所を訪ねたいと思ったのは、伊豆急の電車の広告で“ 伊豆半島ジオパーク”というテーマで、ここの風景が紹介されていてとても魅力的であったからである。12 月下旬、西伊豆には荒々しい海岸があり、その岩を入れて、雪を被った富士山を撮影しようと雲見海岸付近に向かった。東京から車で東名の沼津インターで降り、伊豆中央道を経由して西海岸を南下し、4 時間かけて到着した。天気は快晴、かすみも無く絶好のコンディションである。キャンプの出来る駐車場のすぐ近くに3 段の見晴らし台があり、ここに思っていた構図が撮れる位置を確保して三脚を立てた。西日が差し込んで、手前の岩が黒から赤茶色の混ざった色に変化する時間帯がシャッターチャンスである。この年、富士山の雪は例年に比べて少なかったが、夕陽を浴び、赤茶色に染まった断崖と裾広がりの良い富士山、そしてコバルトブルーの海とのコラボレーションを撮影することができた。この情景を撮影できるのは冬の澄み切った青空の日がベストである。

写真とエッセイ  北川 泰久

<所属>
東海大学名誉教授・東海大学付属八王子病院顧問
医療法人 泰仁会 理事長

<プロフィル>
昭和49年慶應義塾大学医学部を卒業し、後藤文男教授の神経内科教室に入局、米国べーラー大学留学後、川崎市立川崎病院に勤務、膠原病と脳卒中の研究を行い、平成4年より東海大学に赴任、東海大学大磯病院副院長を歴任し、平成15年より東海大学神経内科教授、平成17年より付属八王子病院病院長を9年間つとめ平成29年より東海大学名誉教授、付属八王子病院顧問、医療法人泰仁会理事長、現在に至る。

専門は脳卒中、頭痛、生活習慣病、認知症。日本医師会学術企画委員会副委員長をつとめ、日本医師会雑誌の編集に長年携わっている。写真歴は約15年、各季節の旬を盛り込んだ風景写真のカレンダーを11年間作成し続け、平成26年には春夏秋冬の風景写真130余りを盛り込んだ写真集、憧憬を発表。

今まで使用してきたカメラはペンタックスとニコン、現在はニコン850Dを主に使用している。