2020年11月号(第66巻11号)

日本の四季彩巡り(11)

勅使門につながる落葉参道

撮影地:
京都
毘沙門堂
勅使門(ちょくしもん)

 京都の紅葉は11 月初旬から下旬にかけて約1 か月に渡り楽しむことができる。最近は地球の温暖化により紅葉の見頃がさらに12 月上旬まで延長しているところもある。京都市の東の山科地区に、毘沙門堂という七福神のひとつである毘沙門天を本尊とする天台宗のお寺がある。春は宸殿(しんでん)の近くにある大きなしだれ桜が有名であるが、11月下旬になると、勅使門に通じる参道に散り積もった美しい紅葉風景がみられる。この光景がみられるのはもみじの最盛期をやや過ぎ、散り始めの雨あがりの早朝である。当日は、朝6時頃すでに多くのカメラマンが三脚を構えて撮影をしており、前の撮影者が移動した時にうまく入りこみ、この位置から撮影した。だが、この場に居られる時間は限られている。時間が経ち7時頃になると若いお坊さんが参道の掃除を始め、さらに観光客が上から下から押し寄せるからである。この静寂な時間帯だけが美しい写真を撮れる瞬間である。参道に積もる紅葉が美しいお寺として毘沙門堂のほか左京区の鹿ヶ谷にある安楽寺と西山の金蔵寺などがある。

写真とエッセイ  北川 泰久

<所属>
東海大学名誉教授・東海大学付属八王子病院顧問
医療法人 泰仁会 理事長

<プロフィル>
昭和49年慶應義塾大学医学部を卒業し、後藤文男教授の神経内科教室に入局、米国べーラー大学留学後、川崎市立川崎病院に勤務、膠原病と脳卒中の研究を行い、平成4年より東海大学に赴任、東海大学大磯病院副院長を歴任し、平成15年より東海大学神経内科教授、平成17年より付属八王子病院病院長を9年間つとめ平成29年より東海大学名誉教授、付属八王子病院顧問、医療法人泰仁会理事長、現在に至る。

専門は脳卒中、頭痛、生活習慣病、認知症。日本医師会学術企画委員会副委員長をつとめ、日本医師会雑誌の編集に長年携わっている。写真歴は約15年、各季節の旬を盛り込んだ風景写真のカレンダーを11年間作成し続け、平成26年には春夏秋冬の風景写真130余りを盛り込んだ写真集、憧憬を発表。

今まで使用してきたカメラはペンタックスとニコン、現在はニコン850Dを主に使用している。