2020年10月号(第66巻10号)

日本の四季彩巡り(10)

紅燃ゆる栗駒山

撮影地:
宮城県
栗駒山

 栗駒山は宮城県と岩手県と秋田県が接する所に位置し、秋には素晴らしい紅葉が見られる山として有名である。20 年前、秋の紅葉時期に、紅葉撮影として初めて訪れた山が栗駒山であった。自宅の部屋には、その時撮った2枚の紅葉の写真が古い額縁の中に飾られている。今から考えるとあまりにも不満足な出来ではあるが、紅葉撮影を始めた原点として大切にしている。
栗駒山は10 月上旬から中旬にかけて、ドウダンツツジとナナカマドを中心に、赤と黄色の錦繍の世界となり、特に駐車場のあるイワカガミ平から山の中腹にかけての全山紅葉の風景には圧倒される。栗駒山の人気が高いのはアクセスの良さで、頂上まで約1時間半のトレッキングで登ることができる。条件の良いときには小さなお子さんの手を引きながら登ったり、愛犬のリードを引いて頂上まで来る人もいる。この日はコロナ禍の中で観光経済を活性化する目的で政府Go toトラベルキャンペーンが張られてまもなくで、まだ観光客は少なかった。午前中は雨風が強かったが、ほぼ天気の回復した午後の時間を狙って撮影した。雨上がりの紅葉はさらに鮮やかさを増していた。

写真とエッセイ  北川 泰久

<所属>
東海大学名誉教授・東海大学付属八王子病院顧問
医療法人 泰仁会 理事長

<プロフィル>
昭和49年慶應義塾大学医学部を卒業し、後藤文男教授の神経内科教室に入局、米国べーラー大学留学後、川崎市立川崎病院に勤務、膠原病と脳卒中の研究を行い、平成4年より東海大学に赴任、東海大学大磯病院副院長を歴任し、平成15年より東海大学神経内科教授、平成17年より付属八王子病院病院長を9年間つとめ平成29年より東海大学名誉教授、付属八王子病院顧問、医療法人泰仁会理事長、現在に至る。

専門は脳卒中、頭痛、生活習慣病、認知症。日本医師会学術企画委員会副委員長をつとめ、日本医師会雑誌の編集に長年携わっている。写真歴は約15年、各季節の旬を盛り込んだ風景写真のカレンダーを11年間作成し続け、平成26年には春夏秋冬の風景写真130余りを盛り込んだ写真集、憧憬を発表。

今まで使用してきたカメラはペンタックスとニコン、現在はニコン850Dを主に使用している。