2020年9月号(第66巻9号)

日本の四季彩巡り(9)

大雪山紅葉夢舞台

撮影地:
北海道
大雪山 緑岳

 大雪山系は日本で一番早い紅葉の季節を迎える。そのメッカとして有名なのは、層雲峡にある黒岳、そこから南に下ったところにある銀泉台と大雪高原温泉であるが、緑岳の存在はあまり知られていない。以前NHKの番組で大雪山の紅葉の特集があり、とっておきの絶景として緑岳が紹介されていたのを思い出し、NHKオンデマンドでその映像を注文し、テレビ画面からその風景をスマートフォンで撮り、この地での撮影を計画した。緑岳には大雪高原温泉から約3時間かけて行くことも出来るが、今回は銀泉台から赤岳に向かい、小泉岳を南下して緑岳に向かう約12kmの縦走コースを選び朝7時に出発した。天気は晴れていたが稜線に来ると風速10~20 メートルの強風が吹き、衣服を着込んでいても体が冷え、秋の初めといえどもさすが北海道と感じた。
緑岳から見える大雪の山々は雄大で、山肌の水路になる溝の周りには真っ赤なナナカマドが連なり、熊笹に覆われた山の斜面には黄色いダケカンバが群生し、美しいハーモニーを奏でていた。この風景に見とれてごつごつした岩肌の緑岳をおりるのに時間がかかり、大雪高原温泉に着いたのは夕方4時を超えていた。ずっと撮りたかった本州にないスケールの大きい大雪山の紅葉夢舞台であり、その夢が実現した。

写真とエッセイ  北川 泰久

<所属>
東海大学名誉教授・東海大学付属八王子病院顧問
医療法人 泰仁会 理事長

<プロフィル>
昭和49年慶應義塾大学医学部を卒業し、後藤文男教授の神経内科教室に入局、米国べーラー大学留学後、川崎市立川崎病院に勤務、膠原病と脳卒中の研究を行い、平成4年より東海大学に赴任、東海大学大磯病院副院長を歴任し、平成15年より東海大学神経内科教授、平成17年より付属八王子病院病院長を9年間つとめ平成29年より東海大学名誉教授、付属八王子病院顧問、医療法人泰仁会理事長、現在に至る。

専門は脳卒中、頭痛、生活習慣病、認知症。日本医師会学術企画委員会副委員長をつとめ、日本医師会雑誌の編集に長年携わっている。写真歴は約15年、各季節の旬を盛り込んだ風景写真のカレンダーを11年間作成し続け、平成26年には春夏秋冬の風景写真130余りを盛り込んだ写真集、憧憬を発表。

今まで使用してきたカメラはペンタックスとニコン、現在はニコン850Dを主に使用している。