2020年8月号(第66巻8号)

日本の四季彩巡り(8)

珊瑚のパラダイス

撮影地:
沖縄県
波照間島
ニシ浜

 石垣島から高速船で約1 時間のところに日本最南端の有人島 波照間島がある。この地を求めてくる旅人の目的は、日本で最も美しい海の砂浜とされるニシ浜を堪能し、ダイビングをすること、満天の星空と真夏の深夜、夜空を垂直に走る天の川を見ること、そして1月から6月にかけて最南端の島でこその南十字星を見ることである。ニシ浜の海が飛び抜けて美しい色を示すのは、大きい珊瑚礁が岸の近くに幾つもあり、ブルーからグリーンの濃淡が混在した海の色を形成するからである。浜に続く湾口の防波堤の上からその珊瑚礁の群を撮影した。ニシ浜は全長1kmにわたる砂浜で、満潮時には大小さまざまな形をした珊瑚礁の新鮮なかけらが打ち上げられ、干潮時には太陽に反射して輝くその姿に感動する。これほど天気の良い夏の日に、広大な浜にほとんど人の姿はない、聞こえるのは波の音だけという贅沢な世界である。島の交通手段は徒歩、自転車、バイク、レンタカーのみでバスやタクシーはなく、これからも、いつまでも静かな美しい珊瑚のパラダイスを維持してほしい。

写真とエッセイ  北川 泰久

<所属>
東海大学名誉教授・東海大学付属八王子病院顧問
医療法人 泰仁会 理事長

<プロフィル>
昭和49年慶應義塾大学医学部を卒業し、後藤文男教授の神経内科教室に入局、米国べーラー大学留学後、川崎市立川崎病院に勤務、膠原病と脳卒中の研究を行い、平成4年より東海大学に赴任、東海大学大磯病院副院長を歴任し、平成15年より東海大学神経内科教授、平成17年より付属八王子病院病院長を9年間つとめ平成29年より東海大学名誉教授、付属八王子病院顧問、医療法人泰仁会理事長、現在に至る。

専門は脳卒中、頭痛、生活習慣病、認知症。日本医師会学術企画委員会副委員長をつとめ、日本医師会雑誌の編集に長年携わっている。写真歴は約15年、各季節の旬を盛り込んだ風景写真のカレンダーを11年間作成し続け、平成26年には春夏秋冬の風景写真130余りを盛り込んだ写真集、憧憬を発表。

今まで使用してきたカメラはペンタックスとニコン、現在はニコン850Dを主に使用している。