2020年7月号(第66巻7号)

日本の四季彩巡り(7)

極楽浄土のお出迎え

撮影地:
京都府宇治市
三室戸寺
大賀ハス

 7月になると、各地の寺や神社の境内の池に蓮の花が咲き、夏の到来を告げてくれる。しかし、今年は新型コロナウイルスの禍で、行動の自粛が続き、なかなか遠方には行けず、撮影もできない状態である。
 数年前の6 月、たまたま新幹線に乗った際、JR 東海の出している雑誌の表紙に、お寺を背景としたあざやか蓮の花が目に留まった。京都で蓮の花として名が通っているのは宇治市にある三室戸寺と北西の右京区花園にある法金剛院で、その年の7月初旬、宇治の三室戸寺に向かった。三室戸寺は千年以上の歴史があるお寺で大慈大悲の観世音菩薩の信仰の中心として、人々の尊崇が厚く続けられている。また、紫陽花の名所としても知られている。三室戸寺には大きくて美しい大賀ハスと呼ばれている蓮があり、花びらはほどよく広がり今、まさに見頃であった。ハスの台座は大きく、将来、願わくばここに座り、極楽浄土の世界にひたりたい。
この日は大粒の雨が降り、寺の五重の塔、灯籠もしっとりと濡れ、花びらの縁にも水滴がつき、趣のある写真が撮れて満足なひとときを送ることができた。

写真とエッセイ  北川 泰久

<所属>
東海大学名誉教授・東海大学付属八王子病院顧問
医療法人 泰仁会 理事長

<プロフィル>
昭和49年慶應義塾大学医学部を卒業し、後藤文男教授の神経内科教室に入局、米国べーラー大学留学後、川崎市立川崎病院に勤務、膠原病と脳卒中の研究を行い、平成4年より東海大学に赴任、東海大学大磯病院副院長を歴任し、平成15年より東海大学神経内科教授、平成17年より付属八王子病院病院長を9年間つとめ平成29年より東海大学名誉教授、付属八王子病院顧問、医療法人泰仁会理事長、現在に至る。

専門は脳卒中、頭痛、生活習慣病、認知症。日本医師会学術企画委員会副委員長をつとめ、日本医師会雑誌の編集に長年携わっている。写真歴は約15年、各季節の旬を盛り込んだ風景写真のカレンダーを11年間作成し続け、平成26年には春夏秋冬の風景写真130余りを盛り込んだ写真集、憧憬を発表。

今まで使用してきたカメラはペンタックスとニコン、現在はニコン850Dを主に使用している。