2020年6月号(第66巻6号)

日本の四季彩巡り(6)

可憐なるクリンソウ

撮影地:
栃木県
奥日光
千手が浜

 6月中旬、奥日光中禅寺湖畔の千手ヶ浜ではクリンソウが見頃を迎える。クリンソウはサクラソウ科の多年草で、白、ピンク、紫など美しい花をたくさん咲かせその可憐な姿にいつも心がひかれる。クリンソウははじめ地面に沿って10cmほどの鋸歯を持つ葉のロゼットを作り、花季となるとその中心から花茎を伸ばす。花は、花茎を囲むようにつき、それが数段に輪生する姿が仏塔の先にある「九輪」に似ていることからこの名前がついたといわれている。
 東京から車で2時間、真夜中に出て3時半に奥日光の竜頭の滝に近くにある赤沼駐車場に到着した。ここからこの時期の週末には朝6時発の小田代ヶ原を経由して千手が浜に行く低公害バスがでる。バスに乗ること30分、千手が浜は中禅寺湖の西に位置し、この付近には小さな小川が流れており、その周囲に美しいクリンソウがきりっとした姿で群生している。小川の手前の花と対岸の花との対比が美しい。日の当たりかたによっていろいろな趣の光景が撮れ、クリンソウの姿にはいつも心が癒やされる。

写真とエッセイ  北川 泰久

<所属>
東海大学名誉教授・東海大学付属八王子病院顧問
医療法人 泰仁会 理事長

<プロフィル>
昭和49年慶應義塾大学医学部を卒業し、後藤文男教授の神経内科教室に入局、米国べーラー大学留学後、川崎市立川崎病院に勤務、膠原病と脳卒中の研究を行い、平成4年より東海大学に赴任、東海大学大磯病院副院長を歴任し、平成15年より東海大学神経内科教授、平成17年より付属八王子病院病院長を9年間つとめ平成29年より東海大学名誉教授、付属八王子病院顧問、医療法人泰仁会理事長、現在に至る。

専門は脳卒中、頭痛、生活習慣病、認知症。日本医師会学術企画委員会副委員長をつとめ、日本医師会雑誌の編集に長年携わっている。写真歴は約15年、各季節の旬を盛り込んだ風景写真のカレンダーを11年間作成し続け、平成26年には春夏秋冬の風景写真130余りを盛り込んだ写真集、憧憬を発表。

今まで使用してきたカメラはペンタックスとニコン、現在はニコン850Dを主に使用している。