2023年9月号(第69巻9号)

 みなさん、こんにちは。
 9月も中旬に入りましたが、お元気に過ごされているでしょうか。まだまだ暑く、30度を超える日が続いております。そんな中でも、日が暮れるのが早くなり、朝晩涼しくなってきたところをみると、最近は地球沸騰化とも言われていますが、季節が秋に向かっていると感じます。
 さて、9月1日は「防災の日」です。「防災の日」は、1960 年(昭和35年)に制定され、9 月1日の日付は、1923 年(大正12 年)9 月1 日に発生した関東大震災にちなんだものです。また、この日は例年8 月31 日~9 月1 日付近に台風の襲来が多いとされる二百十日(雑節のひとつで、立春を起算日として210 日目)にあたり、「災害への備えを怠らないように」との戒めも込められているようです。今年は関東大震災からちょうど100年を迎え、メディアでも特集が組まれ、取り上げられていました。
 関東大震災は死者・行方不明者が10 万5000 人を超える大災害となりました。テレビで取り上げられていた番組や新聞で初めて知ったのが「 福田村事件」 です。福田村事件は震災発生から5 日後に、千葉県福田村市(現在の野田市)で起きた事件で、「朝鮮人が井戸に毒を入れた」 などのデマにあおられた村人や自警団が、方言を話す香川県から訪れていた行商人15 人を朝鮮人と決めつけ、子どもや妊婦を含む9人を殺害しました。当時は震災で大混乱の中の過ちであり、知らないだけでこのような事件は他にもたくさんあったかもしれません。
 この事件を題材にした映画「 福田村事件」 が森達也監督によって製作され、9 月1日に公開されました。映画を観ていないのですが、監督はこの映画の製作にあたり、インタビューで「 一人一人は優しい村人が集団になった時、人はヒステリーになり過ちを犯してしまう」 と指摘し、「同じ過ちを繰り返さないために、失敗の歴史から目を背けないでほしい」と語っています。
 島国に暮らしている私たちは、今でこそ海外からの移住者や観光に訪れるインバウンドで外国人に接する機会も増え、外国人なしには我々の生活も成り立たない状況ですが、基本的には日本人同士の同質なものの集まりで暮らしていける状態です。何かをきっかけに異質のものに対して、不安や恐怖を感じた時、集団となって攻撃し、排除することがないよう100年前の事件から私たちが学ぶことはたくさんあると思います。

(美濃部 さやか)