2018年8月号(第64巻8号)

日本の四季彩巡り(8)

真夏の夜のフェニックス

撮影地:
新潟県
長岡花火

日本の三大花火の1つの長岡花火は、太平洋戦争で亡くなられた人の慰霊と復興に尽力した先人への感謝と世界平和を願う気持ちを込めて、1945年に始められた歴史のある花火である。毎年、東海大学神経内科出身で、長岡の悠々健康村病院の院長の立川先生にはいつもお世話になり、雄大で美しい花火を楽しませていただいている。長岡花火の大目玉は2つ、一つは三尺玉、開くと直径600メートルに及ぶ円形の大花火で、長い糸を引きながらの火の粉の散り際がまた美しい。もう一つは2005年に長岡市内を襲った水害、中越地震、豪雪の3つの災害からの復興を祈念した花火フェニックスである。数箇所の打ち上げ場所からジュピターの曲に合わせて次々に花火が開く姿は壮大である。フェニックスを撮るうえで困っていたことはあまりにも大きすぎで、通常のレンズでは花火全体の半分くらいしか入らないことと、正面から撮らないと美しさが十分に反映されない点である。立川先生の病院は花火の打ち上げ場所から真西約5km離れた高台にあり、病院の屋上からフェニックス全体を撮れるのではないかと提案して下さり、その場所で撮る機会を得た。ここからだと200mmのレンズですべての花火が構図の中に入り、余裕を持って撮影することができた。長岡の花火の特徴は色の種類が豊富であることと、スケールの大きさである。幸いにも昨年、私の撮った写真何枚かを病院の中で展示していただいている。

写真とエッセイ  北川 泰久

<所属>
東海大学名誉教授・東海大学付属八王子病院顧問
医療法人 泰仁会 理事長

<プロフィル>
昭和49年慶應義塾大学医学部を卒業し、後藤文男教授の神経内科教室に入局、米国べーラー大学留学後、川崎市立川崎病院に勤務、膠原病と脳卒中の研究を行い、平成4年より東海大学に赴任、東海大学大磯病院副院長を歴任し、平成15年より東海大学神経内科教授、平成17年より付属八王子病院病院長を9年間つとめ平成29年より東海大学名誉教授、付属八王子病院顧問、医療法人泰仁会理事長、現在に至る。

専門は脳卒中、頭痛、生活習慣病、認知症。日本医師会学術企画委員会副委員長をつとめ、日本医師会雑誌の編集に長年携わっている。写真歴は約15年、各季節の旬を盛り込んだ風景写真のカレンダーを11年間作成し続け、平成26年には春夏秋冬の風景写真130余りを盛り込んだ写真集、憧憬を発表。

今まで使用してきたカメラはペンタックスとニコン、現在はニコン850Dを主に使用している。