2022年2月号(第68巻2号)

日本の四季彩巡り(2)

群れる冬のモンスター

撮影地:
山形県
蔵王
樹氷

 日本の冬の風景である樹氷の2 大聖地といえば、蔵王と八甲田である。強い季節風により、アオモリトドマツにびっしりと雪が付着しててきた樹氷は、冬のモンスターといわれ、その姿は、奇妙な人間や動物などの面白い形を示す。蔵王の樹氷は平成25 年から28 年にかけてトドマツツキクイムシによる虫害に遭遇し、樹木がやせ細り、本来の樹氷の姿がみられない年が続いた。その後、害虫の駆除でやっと樹木も元の姿にもどったとの情報を得て現地に行くことにした。蔵王にしても八甲田山にしても冬はほとんど毎日雪空で、青空の見える日は一冬でほんの数日しかない。幸運にも予定した日は雲の合間から太陽がでて、樹氷原を走る山麓ロープウェイの頂上駅からスノーシューを履いて200m位歩いたところの樹氷群で撮影した。高さ4~5m の立派に成長した樹氷とカメラの露出を十分にしぼって、太陽の放射光が写るようにしてモンスターを撮影した。毎年毎年、予定しては天候不順でキャンセルしていた、念願の蔵王の樹氷を撮影することができた。

写真とエッセイ  北川 泰久

<所属>
東海大学名誉教授・東海大学付属八王子病院顧問
医療法人 泰仁会 理事長

<プロフィル>
昭和49年慶應義塾大学医学部を卒業し、後藤文男教授の神経内科教室に入局、米国べーラー大学留学後、川崎市立川崎病院に勤務、膠原病と脳卒中の研究を行い、平成4年より東海大学に赴任、東海大学大磯病院副院長を歴任し、平成15年より東海大学神経内科教授、平成17年より付属八王子病院病院長を9年間つとめ平成29年より東海大学名誉教授、付属八王子病院顧問、医療法人泰仁会理事長、現在に至る。

専門は脳卒中、頭痛、生活習慣病、認知症。日本医師会学術企画委員会副委員長をつとめ、日本医師会雑誌の編集に長年携わっている。写真歴は約15年、各季節の旬を盛り込んだ風景写真のカレンダーを11年間作成し続け、平成26年には春夏秋冬の風景写真130余りを盛り込んだ写真集、憧憬を発表。

今まで使用してきたカメラはペンタックスとニコン、現在はニコン850Dを主に使用している。