2021年6月号(第67巻6号)

日本の四季彩巡り(6)

江ノ電の初夏

撮影地:
神奈川県
江ノ島電鉄
紫陽花

 藤沢の湘南台の慶応大学SFC キャンパス内に慶応大学の関連病院として、湘南慶育病院がある。ここの顧問を3 年前の設立時よりしており、今年からこの病院の広報誌の表紙写真の撮影を春夏秋冬・年4 回行うことになった。いままで日本全国を巡り写真を撮ってきたが神奈川県内のシーンは極めて少ない。この表紙の条件として神奈川県内で撮ったものということで、今までにないチャンスでありチャレンジとなった。夏バージョンとして最初に選んだのは、鎌倉駅から藤沢駅の間を走る、湘南に住む人々に長く愛されている江ノ島電鉄(江ノ電)と紫陽花のコラボレーションである。鎌倉駅から3 つ目の長谷駅を降りて線路沿いをしばらく歩くと、紫陽花の花がこんもりと密に咲いている場所がある。江ノ電は単線で、住居が建て込んでいるところのわずかなスペースをゆっくり走って行く。見頃になった鮮やかな紫陽花越しに、藤沢に向かう、紫陽花のイラストに彩られた行き先を表示した電車と、踏切、バーバーのサインポール、そして美しい赤い花の花壇も収めて、町の中に溶け込んでいる江ノ電の初夏の風情を撮ることができた。

写真とエッセイ  北川 泰久

<所属>
東海大学名誉教授・東海大学付属八王子病院顧問
医療法人 泰仁会 理事長

<プロフィル>
昭和49年慶應義塾大学医学部を卒業し、後藤文男教授の神経内科教室に入局、米国べーラー大学留学後、川崎市立川崎病院に勤務、膠原病と脳卒中の研究を行い、平成4年より東海大学に赴任、東海大学大磯病院副院長を歴任し、平成15年より東海大学神経内科教授、平成17年より付属八王子病院病院長を9年間つとめ平成29年より東海大学名誉教授、付属八王子病院顧問、医療法人泰仁会理事長、現在に至る。

専門は脳卒中、頭痛、生活習慣病、認知症。日本医師会学術企画委員会副委員長をつとめ、日本医師会雑誌の編集に長年携わっている。写真歴は約15年、各季節の旬を盛り込んだ風景写真のカレンダーを11年間作成し続け、平成26年には春夏秋冬の風景写真130余りを盛り込んだ写真集、憧憬を発表。

今まで使用してきたカメラはペンタックスとニコン、現在はニコン850Dを主に使用している。