2021年5月号(第67巻5号)

日本の四季彩巡り(5)

トウゴクミツバツツジの貴賓席

撮影地:
栃木県
奥日光
竜頭の滝上流

 5 月下旬になると奥日光はトウゴクミツバツツジの季節となる。その紅紫色の気品のある美しさと咲き誇る姿にいつも魅了される。竜頭の滝は上方の湯の湖から流れてくるが、滝に至るまでの上流でミツバツツジを背景として、その途中の流れを捉えることができる場所はそう多くない。数年前は遊歩道からちょっと背伸びをすれば容易にその風景を捉えることができたが、最近は木々の背丈が高くなり、そう簡単にはできない。
3 段の脚立に乗り、2mを超す高さの三脚を用いて、トウゴクミツバツツジが渓流の上に、被いかぶさるように咲いているポイントを撮影した。日差しがあると陰が入るので、まだ朝陽が昇らない早朝に撮影し、滝の流れる様子をスローシャッターでなめらかに捉えることにした。幸いにも手前のミツバツツジも見頃を迎えていた。新緑の緑がミツバツツジの色とマッチしさわやかな光景を撮ることができた。撮影をするには工夫がいるが、この席からのトウゴクミツバツツジの風景は極上でとても気に入っている。

写真とエッセイ  北川 泰久

<所属>
東海大学名誉教授・東海大学付属八王子病院顧問
医療法人 泰仁会 理事長

<プロフィル>
昭和49年慶應義塾大学医学部を卒業し、後藤文男教授の神経内科教室に入局、米国べーラー大学留学後、川崎市立川崎病院に勤務、膠原病と脳卒中の研究を行い、平成4年より東海大学に赴任、東海大学大磯病院副院長を歴任し、平成15年より東海大学神経内科教授、平成17年より付属八王子病院病院長を9年間つとめ平成29年より東海大学名誉教授、付属八王子病院顧問、医療法人泰仁会理事長、現在に至る。

専門は脳卒中、頭痛、生活習慣病、認知症。日本医師会学術企画委員会副委員長をつとめ、日本医師会雑誌の編集に長年携わっている。写真歴は約15年、各季節の旬を盛り込んだ風景写真のカレンダーを11年間作成し続け、平成26年には春夏秋冬の風景写真130余りを盛り込んだ写真集、憧憬を発表。

今まで使用してきたカメラはペンタックスとニコン、現在はニコン850Dを主に使用している。