2021年3月号(第67巻3号)

日本の四季彩巡り(3)

春爛漫の特等席

撮影地:
三重県 津市
結城神社

 三重県、津市にある結城神社は、建武新政の樹立に貢献し、津市で最期を遂げた南北朝時代の非運の将、結城宗広公を祀っている神社で、現在は梅の名所として知られ、2~3 月のしだれ梅祭りの時には多くの観光客でにぎわう。三重県には梅の名所がいくつかあり、県北部のいなべ市農業公園の広大な敷地には紅梅、白梅が咲き、また鈴鹿には豪華絢爛なしだれ桜が咲き誇る鈴鹿の森庭園などがあるが、結城神社の梅は古くからある地元の神社の梅として親しまれ、ゆったりとした気分で春の訪れを楽しむことができる。境内にはしだれ梅が約300 本と他10 種類、80 本の梅の木が植えられている。この写真は庭園の中にある休み茶屋の中から撮ったもので、しだれ梅、紅梅、白梅がバランス良く位置し、その梅の花が茶屋の中のテーブルに美しくリフレクションしているところを撮影した。多くの観光客が外で庭園の梅を観賞したり、ウグイスやメジロの飛来を楽しんでいる間、開館直後の誰もいない茶屋の、わずかな時間帯を狙って撮影できた。春うららの、こののどかな雰囲気の世界にずっといたい気分である。

写真とエッセイ  北川 泰久

<所属>
東海大学名誉教授・東海大学付属八王子病院顧問
医療法人 泰仁会 理事長

<プロフィル>
昭和49年慶應義塾大学医学部を卒業し、後藤文男教授の神経内科教室に入局、米国べーラー大学留学後、川崎市立川崎病院に勤務、膠原病と脳卒中の研究を行い、平成4年より東海大学に赴任、東海大学大磯病院副院長を歴任し、平成15年より東海大学神経内科教授、平成17年より付属八王子病院病院長を9年間つとめ平成29年より東海大学名誉教授、付属八王子病院顧問、医療法人泰仁会理事長、現在に至る。

専門は脳卒中、頭痛、生活習慣病、認知症。日本医師会学術企画委員会副委員長をつとめ、日本医師会雑誌の編集に長年携わっている。写真歴は約15年、各季節の旬を盛り込んだ風景写真のカレンダーを11年間作成し続け、平成26年には春夏秋冬の風景写真130余りを盛り込んだ写真集、憧憬を発表。

今まで使用してきたカメラはペンタックスとニコン、現在はニコン850Dを主に使用している。