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2024年11月号(第70巻11号)
みなさん、こんにちは。
11月に入っても暑い日がありましたが、ここ数日で急に冷え込んだため、秋の季節をほとんど感じることなく冬に突入しそうです。それでも今年は残暑が厳しかったため、例年より紅葉の時期が遅いようです。
さて、今月はヨーロッパ旅行の最後の回になります。ポルトガルのポルトから移動し、バスに乗ること4 時間弱、バス酔いしながらスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラに辿り着きました。聖ヤコブ(スペイン語でサンティアゴ)の遺骸があるとされ、ローマ、エルサレムと並んでキリスト教の三大巡礼地に数えられています。大聖堂の前では、聖ヤコブのシンボルであるホタテ貝を杖やバックパックに吊り下げ、長い時間をかけて旅をしてきた巡礼者たちが歓喜の声を上げて抱き合い、中には感極まって泣いている人もいました。そんな巡礼地に数時間で移動してしまい、申し訳ない気持ちの中、大聖堂の博物館ツアーに参加したり、旧市街地全体が世界遺産に登録されている街並みを探索しました。スペイン国営のホテルであるパラドールに宿泊したのですが、パラドールは歴史的建造物をホテルにしたもので、宿泊したパラドールは元々巡礼者のために建てられた病院兼サンティアゴ・デ・コンポステーラに辿り着いた巡礼者達の宿泊施設だったようです。現在でも巡礼者らに1日何組か無料で食事の提供と宿泊所が提供されています。美味しい夕食の後、大聖堂の向かいにある市役所で楽団員らしき人々が大勢の人々に囲まれて合唱していました。合唱の輪の中に入り、曲名は全くわからないのですが、コーヒールンバに似た曲と「シュビドゥビドゥシュビドゥバ~♪」の曲をジャンプしながら歌い、おそらく巡礼者たちへの歓迎の一環として行われているものを体験しました。真夜中になってもその歌声は続き、ホテルの近くではバグパイプの音が鳴り響きなんとも幻想的な夜でした。
旅から帰り、よく言われることかもしれませんが、日本は安全で快適な国だと感じました。まずバックパックを背負っていても後ろから物を盗られる危険が極めて少ないこと、きれいなトイレがいつでもどこでも無料で使えること、電車が時間通りにくることなどです。電車に関しては、イタリアでは数時間、特急列車を待ちましたが、詳細な説明はなく、駅員も特に謝ることもなかったのですが、旅行客を含め怒っている人は誰もいませんでした。比べて日本では正確に電車が来るのが当たり前のせいか、数分の遅れでもアナウンスでお詫びの放送が入るたび、ここまで謝る必要があるのだろうかと思います。旅から帰るとすっかり日本の生活に慣れて、安全や快適さが当たり前となるのですが、時にはホーム(日本)の良さを確認するため海外に出かけて、日々の暮らしのありがたさを感じられればと思います。そして、機会があれば、またポルトガルの石畳の坂道を登れるよう、体力をつけたいです。3 回に渡り、旅行記にお付き合いいただきありがとうございました。