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2026年1月号(第72巻1号)
近く(神奈川県厚木市)の山歩きはスリルと様々な自然との出会いがある。近くの山寺には、「ヤマビル注意」の看板がある。被害防止対策として、湿気のある日陰で立ち止まらないよう注意がある。活動期間は5 月~ 10 月頃とある。その活動開始の5 月に近くの山にハイキングに出掛けた。山道入り口の竹やぶでお爺さんが作業の休憩中であった。大きなタケノコを採っていた。近年はイノシシがタケノコを食い荒らすとのこと。山での狩猟が禁止されたため、イノシシが増えたことが原因とのこと。さらにイノシシなど山の動物は吸血性のヤマビルを運ぶ。「道中、ヒルに注意して行きなさい」とお爺さんは見送りしてくれた。山道を登る稜線で、林の中を移動するサルの群れと遭遇した。間近で見る野生動物の集団移動は迫力がある。山道にサルの落とし物が点在していた。サルも山道を利用し、縄張りマーキングするらしい。
山頂近くで、下山する集団とすれ違った。一行の1人が頂上でヤマビルに血を吸われたとのこと。その山道で、足下に5センチほどの太った深い緑色のヤマビルを発見した。動物の白い毛がついており、血を十分吸って重くなり、動物から自然落下した直後のようである。日陰で湿気が多い。気温も高い。ヤマビル出没の条件が揃う。危険性がかなり高まってきた。山頂の浅間神社にお参りし、下山途中、じめじめとした日陰を歩いた。嫌な予感がした。こまめに立ち止まり靴と靴下を丁寧に調べた。靴下にヤマビルが1匹張り付いているのを見つけた。急いで払いのけた。その一瞬に、周辺の枯れ葉の下から数匹のヤマビルが一斉にニョキニョキ出て来て取り囲まれた。その勢いに圧倒され、不気味な動きに底知れぬ恐怖を感じ、慌てて先を急いだ。帰宅後に靴下を脱ぐと、靴下と足にべっとりと血痕があった。靴下の上から噛まれたようで、踵近くに1ミリ程度の丸い傷跡が見つかった。出血が多いのは、ヒルの唾液腺に含まれる血液凝固阻止物質ヒルジンのためか。ウオーキングシューズでもヤマビルが簡単に這い上がれると判った。厚い靴下でも防げない。防止対策として、靴下に塩をまぶすのも良く、背の高い登山靴が有効とのことである。
サルが稜線沿いを移動していたのは、視界が良く敵に襲われ難いためとのこと。ヤマビルも避けられ好都合である。サルに習って、乾燥した稜線の山道を選ぶ一案もあるが、山道は限られる。近くの山歩きは春先までとし、気温の高い季節の山歩きは、ヤマビルのいない涼しい高山で安心して堪能したい。