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2025年7月号(第71巻7号)
最近、経済学者の宇沢弘文氏の著作で社会的共通資本に対する考え方を知り、現在の社会情勢が異なる方向に向かっていることに強い危機感を覚えた。しかし、今回は触れない。著作の中でマッカーサーを辛辣に批判する文章があり、彼の言葉を思い出した。私の知るのは「I shall return」であり、「Old soldiers never die, they just fade away.」(老兵は死なず、ただ消え去るのみ)である。前者は歴史が証明したし、後者は時々引用されている。実は、彼のオリジナルではなく古い軍歌の一つで、「Young soldiers wish they would」(若い兵士は老兵が消え去ることを願う)と続くのだそうだ。
「Old soldiers」は旧来の医師、検査医、「Young soldiers」は若手の医師、検査医としても良いが、癪に障る。「Old soldiers」は旧弊の検査、「Young soldiers」は新規の検査、つまり、個別化医療、AI、ビッグデータなどが該当するであろう。旧弊の検査が新規の検査に取って代わられるのは、次世代の健康福祉のためにもそうあるべきで、望ましく自然の流れであり、止めてはいけない。
ここで、筆者の妄想が始まる。いっその事、時代の逆行と笑われるかも知れないが、「Old soldiers shall return」ではどうだろうか?古いものが全て悪いんじゃない!古いものにだって良いものはある!確かに、蛋白分画の依頼件数は、減少の一途だが、検体量も極わずかで得られる有益な情報量というコスパの素晴しさがある。また、キャピラリーの導入で問題であった返還時間も短縮した。これを有効利用できないあなたこそが古くて去るべきなのではないだろうか? Oldなものに対し、youngの感受性で絶えず見直すことも検査の専門とする人間の重要な責務ではないだろうか?