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2026年1月号(第72巻1号)
シマフクロウ―アイヌ語で「カムイ・チカップ」、神の鳥を意味します。日本では北海道および北方領土にのみ生息し、翼を広げると180cmにも達する世界最大級のフクロウで、絶滅が危惧される希少種です。
その姿を目にするのは非常に困難ですが、知床には観察や撮影の機会を提供する宿があります。施設内を流れる渓流に給餌池を設け、生きた魚を入れて餌付けを行っているのです。観察者は日没後、池の近くに設置された観察小屋に身を潜め、「神の鳥」の飛来を待ちます。
とはいえ、餌付けしているとはいえ相手は自然。特に繁殖期に入る2月頃は食が細くなり、私も2日連続で徹夜したものの一度も姿を見られなかったことがあります。そのとき、宿のおかみさんに「ついてない人だねえ」と同情されたのを覚えています。
ついに現れた瞬間は衝撃的でした。「ヴォッ、ヴォッ、ウー」と腹に響く野太い声とともに、真っ黒な塊が深い森の奥から飛び出し、高い梢にとまりました。月明かりの下でも一目でそれとわかる、その威厳に満ちた姿はまさに神の鳥でした。
以前にも触れましたが、野鳥の餌付けは基本的にNGです。しかし、この宿のように「見せて守る」ことで保護活動に貢献する事例もあります。金沢大学による地域関係者への聞き取り調査¹)では、適切な管理下で観察場所を提供することで、教育的価値の向上、保全資金の確保、生息地への無秩序な侵入防止、さらには地域価値の向上など、個体群全体の保護につながると賛成意見が報告されています。
もちろん否定的な意見も少なくありません。それでも議論を続け、解決策を模索していければと、カムイ・チカップの崇拝者の一人として心から願っています。
1) 菊地直樹、2022、「保全生態学研究 北海道知床半島のシマフクロウを「見せて守る」ための実践的課題」
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/hozen/advpub/0/advpub_2035/_pdf/-char/ja)
<所属>
獣医師 日本毒性病理学会認定病理学専門家
テルモ(株)R&Dテクニカルアドバイザー
<プロフィール>
テルモ湘南センター 元主席研究員
テルモバイオリサーチセンター 元センター長
人工血管、ステント、イメージングデバイスなど、種々の医療機器の研究開発に従事。
写真は20代の初めの頃、当時お世話になっていた国立衛生研究所の室長に薦められて。モチーフは主に風景と鳥。
記憶している最初のカメラは、キャノンEOSシリーズの1号機、EOS650。
現在使っているカメラはNIKONで、購入したのはつい最近のこと。
それまで使っていたカメラとレンズ資産を手放して購入し、現在は望遠レンズ購入を検討している。
撮影のモットーとしては、デジタルカメラで撮影の際は、多少ピントが甘くても、その瞬間を逃さずシャッターを切ることが大事だと思っている。