2025年12月号(第71巻12号)

鳥棲む空にて

オシドリ

撮影地:相模原市(神奈川県)

 オシドリの雄です。仲の良い夫婦を「オシドリ夫婦」と呼びますが、その由来となったのがこの鳥です。ただし、オシドリを含むカモ類は毎年ペアを替え、繁殖期が終わると夫婦関係は解消されます。そもそも鳥類には一夫一婦制の種が多く、相手が死ぬまで添い遂げるものも少なくありません。「オシドリ夫婦」というイメージは、美しいオシドリにそうあってほしいという、人間の願望から生まれたものなのかもしれません。
 オシドリは冬になると、繁殖地である北海道や東北から南下し、関東や西日本で越冬します。わが相模原にも、有名な越冬地「相模原沈殿池」があります。
 沈殿池は横浜市水道局の沈殿処理施設で、広さは東京ドーム3個分となり、神奈川の「探鳥地50選」に選ばれ、オシドリのほかヨシガモやカンムリカイツブリなど、50種以上の美しい水鳥を観察できます。今回、この記事を書くにあたり久々に訪れましたが、今年はマガンの幼鳥も飛来していました。
 沈殿池の周囲には里山のような雰囲気があり、相模原公園や麻溝公園といった大きな都市公園も隣接しています。緑が多いことが、野鳥たちを集める要因になっているのでしょう。
 多くの野鳥は人工の構造物をうまく利用し、生活の快適性を高めているようにみえます。数億年前に鳥と人間は枝分かれしましたが、二足歩行であること、視覚が主要な認知手段であること、道具を使えること、言語を持つことなど、共通点も少なくありません1)。求める快適性の質も似ている気がします。
 私も沈殿池の周囲を散策するのが好きです。特に空が澄み渡るこの時期、水面に映る青空に、いくつもの水鳥が浮かぶ姿は幻想的です。人にも鳥にも共通の快適な空間があるのだと、改めて実感します。

1)細川博昭:鳥を織る なぜ鳥と人間は似ているのか、春秋社、東京、2016

写真とエッセイ  佐藤 秀樹

<所属>
獣医師 日本毒性病理学会認定病理学専門家
テルモ(株)R&Dテクニカルアドバイザー

<プロフィール>
テルモ湘南センター 元主席研究員
テルモバイオリサーチセンター 元センター長
人口血管、ステント、イメージングデバイスなど、種々の医療機器の研究開発に従事。

写真は20代の初めの頃、当時お世話になっていた国立衛生研究所の室長に薦められて。モチーフは主に風景と鳥。
記憶している最初のカメラは、キャノンEOSシリーズの1号機、EOS650。
現在使っているカメラはNIKONで、購入したのはつい最近のこと。
それまで使っていたカメラとレンズ資産を手放して購入し、現在は望遠レンズ購入を検討している。

撮影のモットーとしては、デジタルカメラで撮影の際は、多少ピントが甘くても、その瞬間を逃さずシャッターを切ることが大事だと思っている。