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2025年10月号(第71巻10号)
アオゲラはハトほどの大きさのキツツキで、尾羽と翼は深い緑色、頭部には鮮やかな赤、嘴にも黄色が差し込むという、非常にカラフルな鳥です。同じキツツキの仲間には、赤と黒の配色が美しいアカゲラや、アオゲラに良く似た配色のヤマゲラなど、色彩豊かな種が多くいますが、個人的にはアオゲラの色合いが最も魅力的だと感じています。
アオゲラは都市部の公園でも見かけることがある、身近な野鳥です。私の自宅のそばにはアオゲラが棲む雑木林があり、「ケケケケケ・・・」と響き渡るけたたましい囀り(さえずり)で朝目覚めることもあります。この写真も自宅近くで撮影したものです。そんな身近な鳥ですが、実は日本固有の種であり、海外のバードウォッチャーにとっては憧れの存在でもあるようです。
そもそも日本列島は、世界的にも稀有な生物多様性に富んだ地域で、鳥類だけで10~15 種もの固有種が、他の動物や植物も含めれば、2,000~3,000 種もの固有種が生息しているそうです。島国であることがその一因と考えられていますが、同じく島国であり、総面積も近いイギリス諸島には固有種がほとんど存在しません。このことは、日本列島の特異性を示す一例と言えるでしょう。
一方で、日本は「生物多様性ホットスポット」にも指定されています。これは、生物多様性が高いにもかかわらず、人間活動による破壊によって多くの種が絶滅の危機に瀕している地域を指します。近年では、ニホンオオカミ、ニホンアシカ、ニホンカワウソなどが環境破壊や乱獲により姿を消し、現在もヤンバルクイナやイリオモテヤマネコなどが絶滅の危機にさらされています。
しかし、私たちはこの事実に対してあまりにも無頓着です。その無頓着さが、行き過ぎた経済優先の選択を黙認させているように思います。少なくとも、関心を持ち、現状を知ろうとする姿勢こそが、この生物多様性に富んだ、世界的にも稀有な地に暮らす者としての在り方ではないでしょうか。
<所属>
獣医師 日本毒性病理学会認定病理学専門家
テルモ(株)R&Dテクニカルアドバイザー
<プロフィール>
テルモ湘南センター 元主席研究員
テルモバイオリサーチセンター 元センター長
人口血管、ステント、イメージングデバイスなど、種々の医療機器の研究開発に従事。
写真は20代の初めの頃、当時お世話になっていた国立衛生研究所の室長に薦められて。モチーフは主に風景と鳥。
記憶している最初のカメラは、キャノンEOSシリーズの1号機、EOS650。
現在使っているカメラはNIKONで、購入したのはつい最近のこと。
それまで使っていたカメラとレンズ資産を手放して購入し、現在は望遠レンズ購入を検討している。
撮影のモットーとしては、デジタルカメラで撮影の際は、多少ピントが甘くても、その瞬間を逃さずシャッターを切ることが大事だと思っている。