
バックナンバー
Back Number
2025年9月号(第71巻9号)
ミサゴは、翼開長が最大で約170cmに達する魚食性の猛禽類です。白を基調とした体色と、水中の獲物を狙って豪快にダイブする特異な狩猟行動により、カワセミと並んでバーダーから非常に高い支持を得ている鳥です。本稿では、ミサゴに関連するいくつかの専門用語(?)について解説します。
オスプレイ(Osprey):ミサゴの英語名です。軍用機「オスプレイ」は、ミサゴのように垂直に急降下・上昇できる特性にちなんで命名されたとされています。
ホバリング(Hovering):水面下の魚を視認する際に行う空中静止行動を指します。翼を連続的に羽ばたかせ、ヘリコプターのように空中で静止します。青空を背景に白い翼を広げる姿は、非常に優雅で印象的です。
ダーウィンポーズ(Darwin pose):ミサゴが空中から水中の獲物に向かって急降下する際、翼をたたみ、両足を前方に突き出しながら水中に突入する姿勢を指します。このポーズは、NHK の自然番組で紹介されたことをきっかけに、バーダーの間で広まりました。
「ダーウィンポーズ」は撮影対象として非常に人気が高い一方で、撮影難易度も極めて高いことで知られています。この姿勢を保持する時間は、おそらく0.05~0.1 秒程度と非常に短く、撮影にはカメラの性能のみならず、動体視力や予測能力など、高度な撮影技術が求められます。私自身、これまでに満足のいく一枚を得るには至っておらず、撮影のたびにその難しさを痛感しています。
お持ち帰り(Take out):捕獲した魚を脚で保持したまま飛翔し、安全な場所へと運搬する行動を指す用語です。今回の写真は、この「お持ち帰り」のシーンを捉えたものです。一度に二匹の魚を捕獲し、水しぶきを上げながら飛び去る様子は、「ダーウィンポーズ」よりも芸術性が高いと言うべきかもしれません。「撮れないなら、撮れたものを褒めればいいじゃない」という、もはや開き直りの境地に達しつつありますが・・・
<所属>
獣医師 日本毒性病理学会認定病理学専門家
テルモ(株)R&Dテクニカルアドバイザー
<プロフィール>
テルモ湘南センター 元主席研究員
テルモバイオリサーチセンター 元センター長
人口血管、ステント、イメージングデバイスなど、種々の医療機器の研究開発に従事。
写真は20代の初めの頃、当時お世話になっていた国立衛生研究所の室長に薦められて。モチーフは主に風景と鳥。
記憶している最初のカメラは、キャノンEOSシリーズの1号機、EOS650。
現在使っているカメラはNIKONで、購入したのはつい最近のこと。
それまで使っていたカメラとレンズ資産を手放して購入し、現在は望遠レンズ購入を検討している。
撮影のモットーとしては、デジタルカメラで撮影の際は、多少ピントが甘くても、その瞬間を逃さずシャッターを切ることが大事だと思っている。