2025年1月号(第71巻1号)

鳥棲む空にて

シマエナガ

撮影地:北海道

 シマエナガです。ふわふわした見た目から雪の妖精とも呼ばれています。北海道でしか見られない希少性もあり、近年知名度が一気に上がりました。尾羽が長いだけで、重さはスズメの半分にも満たない小さな鳥で、遭遇確率は低く、動きが非常に速いため、撮影は困難を極めます。
 北海道でシマエナガのような小鳥を観察する際、わたしは野鳥観察舎(ハイド)を利用することが多いです。ハイドとは人が隠れて野鳥を観察するための小屋で、設置されている小窓から除くことで野鳥への刺激を軽減することができます。エサ台も設置されるので、小鳥たちとの遭遇率はぐんと上がります。根室市内にはハイドがいくつも設置されていて、これらを順に巡るのもバーダーの楽しみの一つです。また観光施設によって独自に餌付けしているところもあるので、そういう場所を利用するのも撮影の成功確率を上げるには有用だと思います。
 ただし、野鳥の餌付けに関しては法的に規制されています。餌をまけば観察しやすくなりますが、環境への悪影響や、野鳥が人間に依存しすぎることで生態系に影響が及ぶことも懸念されるからです。とは言え、人間による給餌によって、絶滅寸前だったタンチョウがその危機から救われたという事例もあり、冬の北海道のような厳しい環境では一概にダメとは言いにくいように思います。
 そもそも自然破壊や温暖化は人間の営みの成果であり、当事者である人間が全く介在しない保護活動はありえないと個人的には思っています。誰もが納得する一つの答えを見出すのは難しいとは思いますが、鳥と同じ空に棲む人間の責任をどう果たせばよいのか?議論は続けるべきと思います。

写真とエッセイ  佐藤 秀樹

<所属>
獣医師 日本毒性病理学会認定病理学専門家
テルモ(株)R&Dテクニカルアドバイザー

<プロフィール>
テルモ湘南センター 元主席研究員
テルモバイオリサーチセンター 元センター長
人口血管、ステント、イメージングデバイスなど、種々の医療機器の研究開発に従事。

写真は20代の初めの頃、当時お世話になっていた国立衛生研究所の室長に薦められて。モチーフは主に風景と鳥。
記憶している最初のカメラは、キャノンEOSシリーズの1号機、EOS650。
現在使っているカメラはNIKONで、購入したのはつい最近のこと。
それまで使っていたカメラとレンズ資産を手放して購入し、現在は望遠レンズ購入を検討している。

撮影のモットーとしては、デジタルカメラで撮影の際は、多少ピントが甘くても、その瞬間を逃さずシャッターを切ることが大事だと思っている。