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2024年12月号(第70巻12号)
モズです。見た目は可愛らしい鳥ですが、完全な肉食です。昆虫やトカゲ、時に雀などの小鳥やネズミなどもその鋭いくちばしで刺し殺して餌にしてしまいます。
また、モズには捕えた獲物を枝の先や有棘(ゆうし)鉄線に突きさしておく残酷な習性もあります。これを「モズのはやにえ」と呼びます。
年の瀬が迫る冬のある日、高い木立の枝先にじっと佇むモズを見つけました。そもそもモズは忙しない鳥で、やけに静かなその様子が気になりました。しばらく観察していると、いきなりスイッチが入ったように忙しなく動き始めました。枝葉の間を飛び回りながら、さかんに何かを啄(ついば)んでいるようです。恐らく「はやにえ」を食べていたのでしょう。モズは、はやにえの場所を忘れることがあると聞いたことがあります。じっとしていたのはその場所を必死に思い出そうとしていたからなのかもしれません。
「はやにえ」を食した雄は、そうでなかった雄よりつがいをつくる確率が高いと言うことが報告されています¹⁾。モズの寿命は恐らく2年ほどで、子孫を残すチャンスは限られています。彼らにとって、はやにえは人間で言う精力剤やエナジードリンク、あるいはそれよりずっと重要なマストアイテムなのだと思います。
モズの繁殖期は年明けすぐに始まります。さっきまで物思いに沈んでいたモズは、梢までファイト一発!と一気に駆け上がり、元気ハツラツにさえずった後、勢いよくすっ飛んでいったのでした。
1)Yuusuke Nishida a, Masaoki Takagi; Male bull-headed shrikes use food caches to improve their condition-dependent song performance and pairing success, Animal Behaviour; 152, June 2019, 29-37
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0003347219301113?via%3Dihub#preview-section-snippets
<所属>
獣医師 日本毒性病理学会認定病理学専門家
テルモ(株)R&Dテクニカルアドバイザー
<プロフィール>
テルモ湘南センター 元主席研究員
テルモバイオリサーチセンター 元センター長
人口血管、ステント、イメージングデバイスなど、種々の医療機器の研究開発に従事。
写真は20代の初めの頃、当時お世話になっていた国立衛生研究所の室長に薦められて。モチーフは主に風景と鳥。
記憶している最初のカメラは、キャノンEOSシリーズの1号機、EOS650。
現在使っているカメラはNIKONで、購入したのはつい最近のこと。
それまで使っていたカメラとレンズ資産を手放して購入し、現在は望遠レンズ購入を検討している。
撮影のモットーとしては、デジタルカメラで撮影の際は、多少ピントが甘くても、その瞬間を逃さずシャッターを切ることが大事だと思っている。