2024年2月号(第70巻2号)

 みなさん、こんにちは。
 2月に入り、能登半島地震で被災された方もようやく仮設住居に入居できるようになりました。1日も早い日常生活に戻られることをお祈り申し上げます。
 先週は東京で積雪となりましたが、今週は20 度近くまで気温が上がり4 月並みの陽気となりました。自宅にある桜の切り枝がすでに満開です。桜の開花も早まる一方、花粉の飛散のピークも前倒しになるようです。
 さて、今月は連休の際、機会があって静岡大学( 静岡キャンパス) の集中講義に参加してきました。人文社会科学部の学生に交じり、アクティブラーニング( 先生が一方的に行う講義ではなく、生徒がグループディスカッションやディベート等を行い、能動的に参加する学習手法) を取り入れた模擬授業を体験しました。このアクティブラーニングとは、文部科学省が2000 年頃より小中高生にも積極的に取り入れるようになったものです。
 3つのグループの発表があり、それぞれがすべて高校公民科「 公共」 の中の「 私たちと選挙」、「私たちの生活と財政」 および「 核兵器の廃絶と国際平和」の単元を扱っていました。
 1つ目の発表では、若者の投票率が低い現状について、自分が議員に立候補するとしたらどのような公約を掲げるのか、自分が投票する際は何を重視して候補者を選ぶのか、立候補するときと投票するときの違いは何か、をチームに分けてディスカッションし、最終的にシルバー民主主義の問題点について考えるという内容でした。2つ目の発表では、私たちの暮らしに欠かせない税金について、社会保障も税金で賄われている点を国税庁の動画を紹介し、もし救急車が有料になった場合について、自分の中で賛成と反対両方の意見を出し、チームで検討して最終的にどちらか結論を出すという内容でした。最後のグループでは、核兵器が廃絶されない状況について、ここでは割愛しますが「 囚人のジレンマ」 というゲームを用いて、国の代表として交渉を繰り返すことで、自国の利益と核廃絶を天秤にかけるという体験しました。最終的には哲学対話を行い、核兵器の撤廃を実現するためには何が必要かを全員で考えるという内容でした。
 模擬授業を聴講し、どの授業も自分で考えるという作業が入るため、受け身で参加することはありませんでした。授業に参加すること自体が久しぶりということもありましたが、3 つのグループそれぞれ違うテーマについて考え、ディスカッションするのは正直結構疲れました。実際のところ、50分の授業時間内にアクティブラーニングを取り入れるためには、授業の構成を工夫する必要がありますが、模擬授業を行った学生さんらが、「想定していたものと違う反応があって焦ってしまった」、「もっとICTを活用した授業を組み立てられたら良かった」 などと振り返ったおり、自分が受けた教育とは全く違った次元での視点や感想はうらやましくもあり、感心しました。つかの間でしたが、大学での時間は良い休日となりました。日曜日に集中講義に参加していた学生さんたち、大変お疲れさまでした。

(美濃部 さやか)